民主化の影響で経済活動も活発になっているミャンマー。近年は外資系企業の参入も目立ちます。日本からも大手メガバンク3行をはじめとして、キリンHD、日清食品HD、スズキ自動車など、大手企業が続々と現地生産を開始。イオンは同国で初めて、外資系企業として単独の参入を認められました。
日本経済新聞やビジネス雑誌等で「アジア最後のフロンティア」とも言われているミャンマーですが、周辺の国家と比べた場合には知名度が低く、日本へ入って来る情報の量にも差があるように感じます。ミャンマーの政治経済情報に詳しい、いわゆる「ミャンマー通」と言えるような人物は、まだ日本にほとんど存在しないのではないでしょうか。
ミャンマーに関する書籍といっても限られた数しか存在しないわけですが、今回は私が「面白い!」と感じた書籍を3冊ほど紹介したいと思います。
東南アジア全鉄道制覇の旅 タイ・ミャンマー迷走編
下川裕治さんの旅行ルポ。鉄道を乗り継ぎながら、ミャンマー全土を大横断していきます。文章の臨場感ももちろんですが、
「ミャンマーの鉄道は、東南アジアでも有数の路線距離。殆どが戦前に作られている」
「軍事政権による路線の延長は、支配地域の誇示という大義のもとで行われたため、いたずらに距離が伸びた」
という興味深い鉄道史にも触れることで、同国の雰囲気、国民性を立体的に感じ取ることが出来るのではないでしょうか。
夫婦でいく東南アジアの国々
作者は清水義範さん。こちらも旅行記なのですが、タイトルからのイメージ通り、ライトな雰囲気。東南アジア諸国を順番に巡っていく様子を楽しむことが出来ます。
また、先ほどの本と同様、
軍事政権時には大学を郊外や地方に分散させていたが、テインセイン大統領時に民主化が復活し、徐々に戻りつつある。
というニッチな情報を知る手立てにもなりますし、同時期に複数の国々を訪れているので、読み進めながら、風土や経済状況の違いを比較することも出来ました。
地球の歩き方 ミャンマー2017~2018
ただの旅行雑誌と侮るなかれ。 最大都市ヤンゴンはもちろんのこと、首都であるにもかかわらず情報量の少ないネピドー、中国との関係が深いマンダレー、漁業が活発なタニンダーリ管区など、各地域の情報がコンパクトにまとめられており、大変勉強になります。
また、同シリーズは年に1度、内容を大幅に刷新させながらコンスタントに発売され続けているため、常に新しい情報に接することも出来ます。過去のシリーズと読み比べることで、変わりゆく都市の光景、観光コースの変化なども実感できるのではないでしょうか。