白熱する米中貿易戦争。アメリカが経済上、さらには安全保障上の理由から、ファーウェイ製品を全面的に締め出したことは大きな話題になりましたが、中国も負けじとばかりに、レアアース(希土類)輸出の規制を始めました。
このレアアース規制は、隣国ミャンマーにも影響を及ぼしそうな事態になりつつあるようです。
レアアースとは
ハイテク産業に必要不可欠な鉱物で……
- ハードディスク用ガラス基板
- 液晶パネルディスプレイ用の研磨材
- 自動車用や石油精製用の触媒
など幅広い製品に使用されています。
中国がほとんど独占状態
レアアース需要の拡大傾向は今後も続いていくとみられているのですが、現在は、中国がレアアースの供給の約97%を占めています。圧倒的。
「中国にしかない」わけではない
しかしレアアースは必ずしも稀少なのではなく、探せば世界中に埋蔵されているそうです。地球全体のレアアー ス埋蔵量に対して、中国が占める割合は30-35%程。えぇ!?どゆこと!?
90 年代に入ってから、中国は低価格販売によって急速に世界市場でシェアを拡大。独占的市場地位を獲得したのです。。レアと言うのは、経済的に採掘可能な国が中国を除いて数か国しかない、という意味なのです……!!
中国のレアアース規制
米中の貿易戦争が激しさを増す中で、中国はレアアースを報復の材料にすることをほのめかし始めました。
ミャンマーは「レアアース大国」!?
中国を除いて、現在開発が行われているレアアース鉱山は、アメリカやインド、オーストラリア等の限られた地域にしか存在していませんが、なんとこのレアアースが、ミャンマーにもあります。なんとなんと、ミャンマーのレアアース産出量は、中国と米国、オーストラリアに次いで4番目に多いのです!
掘っているのはミャンマーではない
中国では2010年以降、環境規制の強化から採掘コストが上昇。国内の鉱床から、ミャンマーの鉱床へと採掘の対象を移してきました。
中国企業は相次いで、「ミャンマーで採掘した重希土類を中国にいったん輸入し、これを海外に輸出する」というビジネスモデルを構築したわけです。
しかし今年の5月、中国は、レアアースに関わるミャンマーとの輸出入を禁止するという手に出ました。採掘しているのは中国企業ですから、これでミャンマーのレアアース採掘は事実上中止となりました……。
中国の思惑
今回の措置が、長期的には、ミャンマーに米国への不満を高めさせるという効果を生む可能性があります。自国の味方を作り、情勢を有利に運んでいくことが目的だと考えられているようです。レアアースというカードを使って、そして隣国のミャンマーも巻き込みながら、米中の新たな貿易戦争が幕を開けました。