ミャンマーのはなし

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ミャンマー軍事政権、経済崩壊の危機にロシアと上海協力機構に活路を求める?

ミャンマーの軍事政権が、深刻な経済危機に直面する中、ロシアを訪問し、中国とロシアが主導する「上海協力機構(SCO)」からの支援を模索しているというニュースが報じられました。同時に、国内では軍事政権が自身の正当化を図るための「形だけの選挙」に向けた動きも伝えられています。国際社会から孤立を深めるミャンマー軍事政権が、どこに活路を見出そうとしているのか、その背景と影響について見ていきましょう。

背景:なぜこの動きが起きているのか

このニュースを理解するためには、2021年2月のクーデター以降のミャンマー情勢を振り返る必要があります。

  • 2021年2月のクーデターとその後の混乱: アウンサンスーチー氏率いる民主的な文民政府を打倒し、国軍が政権を掌握したのが、2021年2月1日のクーデターです。これに対し、ミャンマー国民は広範な抗議活動を展開。国軍(軍事政権)はこれらを厳しく弾圧し、多くの死者や逮捕者が出ました。現在も、民主化を求める国民統一政府(NUG)や、各地の市民防衛隊(PDF)と呼ばれる武装組織、そして一部の少数民族武装勢力(EAO)などが軍事政権に対する抵抗を続けており、国内は深刻な武力衝突と混乱に陥っています。

  • 国際社会からの孤立と制裁: クーデターとそれに続く国民への弾圧を受け、欧米諸国を中心に、ミャンマー軍事政権に対する厳しい経済制裁や外交的圧力が課されてきました。国際会議の場からも排除されることが多く、軍事政権は国際社会において「正統な政府」として認められていません。

  • 深刻な経済の悪化: クーデター後の国内の政治的・治安的混乱、国際社会からの制裁、そして外国からの投資の激減などにより、ミャンマー経済は急速に悪化しています。通貨チャットの価値は下落し、物価が高騰。失業率も増加し、多くのミャンマー市民が生活苦に直面しています。軍事政権は、この経済危機を打開するための有効な手立てを見つけられずにいるのが現状です。

このような状況の中で、国際的な孤立と経済的窮状を打開するため、ミャンマー軍事政権は新たな「味方」を求めていると考えられます。

今回のニュースのポイント

今回の報道から読み取れる主なポイントは以下の通りです。

  • 経済危機からの脱却と新たな活路: ミャンマー経済は、まさに「崩壊寸前」と表現されるほど深刻な状況にあります。軍事政権は、この経済的圧力を和らげるための具体的な支援を必要としており、国際社会の中で自身を受け入れてくれる国や組織を探しているのです。

  • 上海協力機構(SCO)への接近とロシアとの関係強化:

    • 上海協力機構(SCO)とは? 中国とロシアが主導する地域協力機構で、中央アジア諸国(カザフスタンキルギスタジキスタンウズベキスタン)、インド、パキスタン、イランなども加盟しています。安全保障、テロ対策、そして経済協力などを主要な目的としています。欧米主導の国際秩序とは異なる、多極的な世界を志向する組織と見なされることもあります。
    • ミャンマー軍事政権はSCOの「オブザーバー国」への加盟を目指しているとされており、これを通じて経済的支援や、欧米とは異なる枠組みの中での国際的な「正当性」の一部を得ようとしている可能性があります。
    • ロシアとの関係強化もこの文脈で重要です。ロシアはミャンマー軍にとって主要な武器供給国であり、国連安保理などでもミャンマー軍事政権を擁護する立場をとることが多いです。ロシアもウクライナ侵攻後、西側諸国からの制裁を受けており、国際的に孤立している両国には共通の利害関係があると言えるでしょう。
  • 「形だけの選挙」の画策: 記事では、軍事政権のトップが「ゴム印選挙(rubber-stamp election)」のための超国家主義的なキャンペーンを展開していることにも触れられています。「ゴム印選挙」とは、実質的な競争や選択の余地がなく、結果が既定路線であるような形式だけの選挙のことです。軍事政権は、自らが「正統な政府」であることを国内外に示すために、このような選挙を計画しているとみられますが、多くの民主派や市民からは自由で公正な選挙とは到底みなされていません。

ミャンマー市民や周辺国・国際社会への影響

今回の軍事政権の動きは、多方面に影響を及ぼす可能性があります。

  • ミャンマー市民への影響: 経済状況は今後も改善が見込めず、市民の生活苦は一層深刻化する恐れがあります。軍事政権がSCOやロシアから支援を得ることで、国際社会からの圧力が弱まり、民主化への道のりがさらに遠のくと懸念する声も上がっています。国内の武力衝突や人道危機も継続しており、市民の苦境は続くでしょう。

  • 周辺国(特にASEAN)への影響: ミャンマー情勢は、東南アジア諸国連合ASEAN)にとっても大きな課題であり続けています。軍事政権がSCOやロシアに接近することで、ASEANが提唱する「五項目の合意」に基づく解決策がさらに困難になる可能性があります。また、地域全体の安定にも悪影響を及ぼすことが懸念されます。

  • 国際社会への影響: ミャンマー軍事政権が非民主的なアプローチを続ける中、SCOへの接近は、民主主義を支持する国々にとっては懸念材料となります。国際社会の分断を深める一因となり、人道支援民主化を求める国際的な圧力が、軍事政権が新たな「味方」を見つけることで、その効果が薄れる恐れも指摘されています。

ブロガーとしての簡単なコメント

ミャンマー軍事政権が経済危機に直面し、新たな国際的な活路を模索する今回の動きは、彼らが置かれた窮状を浮き彫りにしています。同時に、国際社会の民主主義と権威主義という分断を象徴する出来事とも言えるでしょう。

しかし、軍事政権がどのような形で国際的な支持や経済的支援を得ようとも、ミャンマー国内の根本的な問題、すなわち国民が求める民主主義、人権の尊重、そして恒久的な平和が実現しない限り、真の安定は訪れないはずです。

私たちも、遠い国の出来事とせず、ミャンマー市民が今も直面している困難と、彼らの民主化への願いに、引き続き関心を持ち続けることが大切だと感じています。


Source: https://www.irrawaddy.com/specials/junta-watch/junta-seeks-sco-lifeline-in-moscow-after-crashing-economy-and-more.html