導入
先日のASEAN(東南アジア諸国連合)関連の会議で、ミャンマー国軍が任命したニョー・ソー首相が、将来実施されるとする選挙への「支持」についてASEANに感謝を表明したと報じられました。しかし、この発言は国際社会、特にASEANがミャンマー国軍の統治を正当化するものと受け取られかねない、非常にデリケートなものです。なぜなら、ASEANが公式にミャンマー国軍の計画する選挙を支持したという事実は、これまでのところ確認されていないからです。
背景:なぜこの出来事が起きているのか
ミャンマーでは2021年2月1日に国軍がクーデターを起こし、アウンサンスーチー氏率いる民主的に選ばれた政府を打倒しました。以来、国軍は「国家統治評議会(SAC)」と呼ばれる暫定政権を樹立し、自らの統治を正当化しようとしています。その主要な手段の一つが、「公正な」選挙を実施し、それを基に新たな政府を樹立するという約束です。
しかし、この「選挙」計画は国内外から厳しい目が向けられています。国軍は民主化運動を弾圧し、数万人を逮捕・拘束、多くの市民が命を落としました。このような状況下での選挙は、真に自由で公正なものとはなりえないと広く認識されています。多くの民主化勢力や国際機関は、この選挙が国軍の支配を固定化するための「見せかけ」に過ぎないと批判しています。
ASEANはミャンマーの隣国が多く加盟する地域連合として、この危機に対して「5項目コンセンサス」という解決策を提示しています。これは、暴力の即時停止、関係者間の対話、ASEAN特使の任命と訪問、人道支援の提供などを含むものです。しかし、国軍はこのコンセンサスの履行に協力的ではなく、ASEANと国軍の関係は冷え込んだままです。
このような状況の中で、国軍側は国際的な正当性を獲得しようと必死です。特に、国際社会から孤立している現状を打開するため、地域の大国であるASEANからの支持を取り付けたいと考えています。今回のニョー・ソー首相の発言は、まさにその狙いがあったと見られています。
今回のニュースのポイント
今回のニョー・ソー首相の発言には、いくつかの重要なポイントがあります。
- 「国軍任命首相」の発言: ニョー・ソー氏は、国軍が任命した首相であり、国際的な会議の場でミャンマー国軍の立場を代表して発言しました。これは、国軍が自らの支配を国際的に認知させようとする試みの一環です。
- 「ASEANへの感謝」: 首相は、国軍が将来実施するとする選挙に対する「支持」についてASEANに感謝を表明しました。これは、ASEANが国軍の選挙計画を承認しているかのような印象を国際社会に与えることを意図しています。
- 「実際には支持なし」: しかし、ASEANはこれまでミャンマー国軍の選挙計画を公式に支持する声明を一切出していません。むしろ、ASEANの「5項目コンセンサス」は、関係者間の対話や暴力の停止を最優先しており、現在の状況での選挙実施には懐疑的な姿勢を保っています。
- 「国際的プロパガンダ」: この発言は、国軍が国際社会、特にASEANの姿勢を自分たちに都合の良いように歪曲し、自らの統治と「選挙」を正当化しようとする、明確なプロパガンダであると捉えられています。
ミャンマー市民や周辺国・国際社会への影響
この国軍側首相の発言は、ミャンマー国内外に様々な影響を及ぼす可能性があります。
ブロガーとしての簡単なコメント
今回のニョー・ソー首相の発言は、ミャンマー国軍がいかに国際社会の分断に乗じ、自らの都合の良いように情報を操作しようとしているかを示す典型的な例だと思います。ASEANが実際にそのような支持を表明していないにもかかわらず、公の場で「感謝」を述べるというのは、国際社会の動向に疎い人や、国内の支持層向けに、あたかも国際社会が国軍を承認しているかのような虚偽の印象を与える狙いがあると言わざるを得ません。
ミャンマーの民主化への道のりは、相変わらず厳しく、国軍のこうした情報操作によってさらに複雑化しています。私たちは、こうしたニュースの裏にある真意をしっかりと見極める必要があります。ミャンマー市民が置かれている困難な状況に思いを馳せ、国際社会、そして日本が、真の民主主義と人権が回復されるよう、引き続き関心を持ち、適切な支援を継続していくことが非常に重要だと感じています。
Source: https://www.irrawaddy.com/news/politics/myanmar-pm-thanks-asean-for-supporting-election.html