ミャンマーの旧国名は「ビルマ」。1989年に「ミャンマー」に国名を変更しました。しかし東京外国語大学で学ぶことが出来るのは、ミャンマー語ではなくビルマ語(東外大言語モジュール|ビルマ語)。販売されている書籍の多くも、「ビルマ語入門」「ビルマ語辞典」「ビルマ語会話」などと、現在も「ビルマ」が呼称され続けています。
これが何故なのか……という点は正直よく分からなかったのですが、分かった範囲で一旦ご紹介します。
独立以前から「ミャンマー」だった
なんと歴史上、ミャンマー人自身が自国を「ビルマ」と呼称していた時期は、歴史上にただの1度もありません。その理由は「喋り言葉」と「書き言葉」の違いにあります。
ミャンマー人は古来から、喋り言葉であれば自国を「バマー」と呼び、書き言葉であれば「ミャンマー」と呼んできました。2つの呼称は、12世紀辺りに生まれた「ムランマー」という同じ語源がルーツにあり、国内では自然に使い分けられているようでした。
喋り言葉:バマー
書き言葉:ミャンマー
変わったのは英語名だけ
ミャンマーは、1989年に自国の国名を「ビルマ」から「ミャンマー」へ変更しています。ただミャンマー人自身は、書き言葉であれば従来から「ミャンマー」という呼称を使っていたわけで、政府が変更したのは国際社会向けの英語名だけということになります。
喋り言葉:バマー
書き言葉:ミャンマー
喋り言葉寄りのビルマ……ではなく、書き言葉に合わせて呼んでね、みたいなことでしょうか。
軍事政権下で謎の変更
1989年6月、国内の民主化を封じ込めたミャンマー軍事政権は突然、英語の国名を「ミャンマー」に変更すると宣言しました。これは何故なのか。当時の軍事政権は、その理由をこのように説明しています。
ミャンマーにはビルマ族以外にも、130以上に及ぶ多数の民族がいます。ただビルマ族だけでなく、少数民族も喋り言葉では同様に「バマー」と呼んでいる場合が多く、特段それに対する反発があったわけでも無かったようです。
なので、言っていることの整合性はあまり無いというか、当時の軍政の真意はちょっと謎です……。もうちょっと調べます。