導入
ミャンマー西部、バングラデシュとの国境に接するラカイン州で、軍事政権による民間目標への空爆が激しさを増しています。先日発生した病院への爆撃で多数の死傷者が出たにもかかわらず、国際社会からの非難をよそに、アラカン軍(AA)が支配または係争中の地域への攻撃が続けられているという痛ましいニュースが報じられました。特にAAが攻勢を強める中で、軍事政権は劣勢を覆そうと、航空機による攻撃を多用している状況です。
背景:なぜこの出来事が起きているのか
2021年2月1日、ミャンマー国軍がアウン・サン・スー・チー氏率いる民主的に選ばれた政府をクーデターで転覆させて以来、ミャンマー情勢は混迷を深めています。国軍(タッマドー)は権力を掌握し「国家行政評議会(SAC)」と呼ばれる軍事政権を樹立しましたが、これに対し、多くの市民が抵抗運動を開始。民主派勢力は「国民統一政府(NUG)」を設立し、その下で組織された「国民防衛隊(PDF)」が、各地の少数民族武装勢力(EAO: Ethnic Armed Organization)と連携して軍事政権に対する武装闘争を展開しています。
ラカイン州は、ロヒンギャ問題で国際的にも知られる地域ですが、この地域では以前から「アラカン軍(AA)」という強力な少数民族武装勢力が活動しており、ラカイン族(アラカン族)の自治権拡大を目指しています。クーデター以前は国軍とAAの間で激しい戦闘が繰り返されていましたが、クーデター後は一時停戦状態に入っていました。
しかし、昨年10月下旬に北部シャン州で「3兄弟同盟」(AA、ミャンマー民族民主同盟軍MNDAA、タアン民族解放軍TNLA)が軍事政権に対し大規模な攻勢「1027作戦」を開始すると、その影響はラカイン州にも波及。停戦が破られ、AAも再び軍事政権への攻撃を激化させています。AAはラカイン州内の複数の軍事政権拠点を制圧するなど、優勢に戦いを進めており、軍事政権は地上部隊での劣勢を補うために、空爆に依存する傾向を強めています。
今回のニュースのポイント
今回のイラワディ紙の報道は、ラカイン州の現状の深刻さを浮き彫りにしています。
- 国際的非難を無視した空爆の継続: 先日、ラカイン州内パウンドー郡区(タウンシップ)の病院が爆撃を受け、複数の民間人が死傷したと報じられました。この行為は当然ながら国際社会から強く非難されましたが、軍事政権はこれに耳を傾けず、依然として空爆を続けています。市民の命を軽視し、自らの支配維持のためには手段を選ばない姿勢がうかがえます。
- 民間目標への無差別攻撃: 空爆の標的となっているのは、AAが支配または係争中の地域にある民間目標です。これには、住宅地、学校、市場、そして先の病院のような医療施設も含まれています。民間人を巻き込む無差別な攻撃は、国際人道法に違反する可能性があり、市民の生命と安全を脅かしています。
- 対象となる5つの郡区: 特に空爆が集中しているのは、ラカイン州内のマウンドー、ブティダウン、ラテダウン、ミエボン、パウンドーといった5つの郡区です。これらの地域はAAの勢力圏、あるいはAAと軍事政権が激しく衝突している最前線となっており、住民は常に空爆の危険に晒されています。
ミャンマー市民や周辺国・国際社会への影響
この状況は、ミャンマーの国内外に多大な影響を及ぼしています。
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ミャンマー市民への影響:
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周辺国への影響:
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国際社会への影響:
ブロガーとしての簡単なコメント
ラカイン州での空爆激化と民間人への被害の報告は、胸が締め付けられるほど痛ましいものです。医療施設への攻撃は、いかなる理由があろうとも許されるべきではありません。この悲劇的な状況に対し、国際社会が沈黙することはできません。ミャンマーの市民が日々直面する困難に、私たち一人ひとりが関心を持ち続けることが、彼らにとっての希望となります。一刻も早く、ミャンマーに平和と安定が訪れることを心から願っています。