ミャンマーのはなし

東南アジアのユニーク国家、ミャンマーに関する情報を発信していきます。

ミャンマーのはなし

「見せかけの選挙」第二フェーズに透けるミャンマー国軍の狙い:揺れる国家の行方

ミャンマーで国軍が権力を掌握して以来、情勢は混迷を極めていますが、最近、国軍は自身が主導する「選挙」の第二フェーズを実施しました。これは非公開で行われ、国軍高官やその協力者が候補となる異例の「選挙」であり、国際社会や多くのミャンマー市民からはその正当性が強く疑問視されています。今回は、この「選挙」がどのようなものなのか、その背景と今後の影響について詳しく見ていきましょう。

背景:なぜ国軍は「選挙」を実施するのか?

現在のミャンマーは、2021年2月1日のクーデター以降、国軍による統治下にあります。当時、アウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝した2020年の総選挙の結果を国軍が不服とし、「不正があった」と主張して権力を掌握しました。これにより、多くの民主派指導者が拘束され、市民による大規模な抗議活動が全国各地で勃発。国軍はこれを武力で鎮圧しようとし、国内は内戦状態に近い深刻な状況に陥っています。

国軍は、クーデター後に「国家運営評議会(SAC)」という統治機関を設立し、現在も国家を運営しています。彼らは、自身が策定した2008年憲法に基づく「民主化ロードマップ」を主張しており、最終的には「選挙」を通じて新たな政府を樹立すると公言してきました。しかし、この2008年憲法自体が、議席の25%を国軍に自動的に割り当てるなど、国軍に強大な権限を保証する内容となっており、実質的には国軍の支配を正当化し、永続化するための仕組みであると広く認識されています。

今回の「選挙」の実施は、国軍がこのロードマップ、つまり「2008年憲法に則ったプロセス」を遂行しているという体裁を国内外に示すことで、自身の支配に正当性を与えようとする試みの一つと考えられます。

今回のニュースのポイント

今回報じられた「選挙」の第二フェーズについて、その具体的な内容は以下の通りです。

  • 「第二フェーズ」の実施内容: 今回行われたのは、ミャンマーの12の州・地域で、主に次の政府の閣僚候補や州・管区首相などの高官を選出するためのプロセスとされています。これは、国軍が描く次期政権の骨格を作るための「人選」段階と捉えることができます。
  • 候補者と投票者:
    • 候補者: 国軍の高官、国軍系の政党である連邦団結発展党(USDP)の幹部、そして一部の少数民族政党のメンバーが候補者として名を連ねています。
    • 投票者: 投票する権限を持つのは、現在の国家運営評議会(SAC)のメンバー(閣僚、州首相、司令官など)や、SACが任命した地方行政評議会(LOA)のメンバーなど、ごく限られた人々です。これらの投票者は実質的に国軍が任命した人物であり、その数はわずか1,000人程度と報じられています。
  • 選挙の性質:
    • 非公開性: このプロセスは一般に公開されず、メディアの立ち入りも厳しく制限されています。
    • 「選挙」というより「人選」: 民主主義国家で一般的に行われるような国民が候補者を選ぶ「選挙」とは異なり、国軍が自身に忠実な人物を次の政権幹部として選ぶための「人選プロセス」としての側面が非常に強いと言えます。
    • 国軍の主張: 国軍は、これを「2008年憲法に則った正当なプロセス」だと主張していますが、その実態は軍事支配を確立するためのものと国際社会からは見られています。

ミャンマー市民や周辺国・国際社会への影響

この「選挙」が、ミャンマー国内および国際社会に与える影響は小さくありません。

  • ミャンマー市民への影響:
    • 抵抗運動の継続: 多くのミャンマー市民は、国軍のクーデターを拒否し、「市民不服従運動(CDM)」や「人民防衛隊(PDF)」といった民主派勢力による武装抵抗運動を通じて、民主主義の回復を求め続けています。今回の「選挙」も、国軍による支配を正当化する試みと見なされ、市民の不信感や反発をさらに強める可能性があります。
    • 人道危機の一層の悪化: 内戦状態が続く中で、人道危機は深刻さを増しています。この「選挙」が事態を好転させる兆しとならない限り、市民の苦しみは続くと予想されます。
  • 周辺国・国際社会への影響:
    • 国際社会の不承認: 多くの国や国際機関は、この「選挙」が自由で公正なものとは認めず、その正当性を承認しない立場を取っています。東南アジア諸国連合ASEAN)が掲げる「五項目合意」(暴力の即時停止、対話開始、人道支援など)も国軍は履行しておらず、今回の「選挙」もこの合意からかけ離れたものです。
    • 国際的な孤立の深化: 国軍がこのような一方的なプロセスを強行することで、ミャンマーの国際的な孤立はさらに深まる可能性があります。これに伴い、投資や国際的な支援の停滞も予想されます。
    • 周辺国への波及: ミャンマーの不安定化は、周辺国(タイ、インド、中国など)にも国境地域での難民問題や安全保障上の懸念といった形で波及する可能性があります。

ブロガーとしての簡単なコメント

ミャンマー国軍が実施する今回の「選挙」は、民主主義的なプロセスとはかけ離れた、権力維持のための巧妙な戦略と言わざるを得ません。多くのミャンマー市民が命がけで抵抗を続ける中で、このような一方的なプロセスが強行されることは、さらなる混乱と悲劇を生む可能性があります。

私たちにできることは限られていますが、この国の現状を理解し、国際社会の一員として、ミャンマー民主化を支持し続けることが重要だと感じています。遠い日本の地からではありますが、ミャンマーの人々が真の平和と民主主義を手にする日が来ることを、心から願ってやみません。


Source: https://www.irrawaddy.com/news/politics/key-facts-about-second-phase-of-myanmar-juntas-election.html